■ 実践コラム 『取引条件に拘りましょう』

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■ 実践コラム
『取引条件に拘りましょう』
…取引条件で自社のキャッシュフローが大きく変わります。
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弊所の顧問先様で、創業から順調に業績を伸ばしているA社があります。            もちろん営業的な面が上手く行っていることが主な要因ですが、借入れをしなくても資金繰りに  困らない取引条件でビジネスをスタートできたことも大きな要因です。

信用力が低く銀行借入れが困難なスタートアップ企業は、仕入や人件費等の支払日より、     売上金の入金が先にくるよう、販売先や支払先と交渉しなくてはなりません。          もし支払日が1日でも前になってしまえば、売上金が入金されるまでの立替資金が必要になるため、銀行等の協力が成長の絶対条件となってしまいます。

A社は、売上は末締めの翌月末回収である一方、仕入は25日締め翌々月5日払いとしています。  毎月末日に回収した資金を5日の支払資金に充てることができるため、銀行の協力がなくても
大きく売り上げを伸ばすことができました。

他にも、支払日を翌月にずらすメリットはあります。月末時点の現預金残高が大きくなるという  メリットです。たとえ5日後には現預金残高が半減するとしても、               試算表等は末日で作成しますので、試算表の上では、現預金の残高が膨らみます。        当然買掛金も膨らむため、安全性分析ではそれほど変わりませんが、
単純に現預金残高を評価する金融機関もあるため、財務面でも有効です。

もうひとつA社が優れている点は、仕入の平均支払サイトを55日にできた点です。        A社の代表は支払日を5日後ろにずらすだけでなく、締日を5日前にする交渉も行いました。   結果は同じはずですが、支払日を10日伸ばす交渉よりも、支払日を5日伸ばして締日を      5日前倒しする交渉の方が通りやすかったようです。

この10日は中小企業にとって大変大きなインパクトがあります。
「支払を先延ばししたところで、いつかは払わなくてはならないのだから一緒でしょう?」    とおっしゃる方もいらっしゃいますが、企業は永遠に生き続けますので、            払わなくてはならない日は訪れません。

月の仕入額が1,000万円であれば10日分の333万円は永遠に買掛金となります。         仕入額1億円になれば3,333万円です。無利子かつ返済不要の借入と同じ効果です。

取引条件に強く拘っている中小企業様は少ないと感じます。
取引条件がキャッシュフローに与える影響をしっかりと理解し、
もっと強く拘ってみてはいかがでしょうか。

 

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■ お役立ち情報
『キャリアアップ助成金(正社員化コース)について』
 …平成30年度から要件が追加される予定です。
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「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者等の非正規雇用労働者を正社員等に転換させる取組を支援する助成金です。

平成30年度からは支給申請の上限人数の拡充や支給要件の追加が行われる予定です。

もし、有期契約労働者等の正社員化をお考えで、追加予定の支給要件を満たすことが       難しいようであれば、3月までに正社員に転換する等の対応が必要になるかもしれません。

変更内容の概要をみておきましょう。

■支給申請上限の拡充
平成30年4月から、以下の(1)から(3)を合わせた1年度1事業所あたりの支給申請上限人数が15人から20人に拡充される予定です。
※(  )内は生産性要件を満たす場合の金額です。

(1)有期契約労働者等を正規雇用労働者にする場合
中小企業:1人あたり57万円(72万円)
大企業:1人あたり42万7,500円(54万円)

(2)有期契約労働者等を無期契約労働者にする場合
中小企業:1人当たり28万5,000円(36万円)
大企業:21万3,750円(27万円)

(3)無期契約労働者を正規雇用労働者にする場合
中小企業:1人当たり28万5,000円(36万円)
大企業:21万3,750円(27万円)

■支給要件の追加
次の要件が追加される予定です。

(1)正規雇用等へ転換した際、転換前の6ヶ月と転換後の6ヶ月の賃金総額を比較して     5%以上増額していること。
※賞与や諸手当を含む総額で比較します。                          ただし、 諸手当のうち、通勤手当、時間外手当(固定残業代を含む。)及び          歩合給などは除きます。

(2)有期契約労働者からの転換の場合、対象労働者が転換前に事業主で雇用されていた期間を  3年以下に限ること。

有期契約労働者を正社員に転換させることを考えているが、一気に5%の賃上げは難しい、    あるいは長く有期契約で雇用している社員を正社員に転換させることを予定している場合は、   早めに対応して助成金の活用を検討されてはいかがでしょう。

詳しくは厚生労働省のホームページをご確認ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

 

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