■ 実践コラム 『借入の目安について』 …適正な借入額は経営手腕によって変わります。
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■ 実践コラム
『借入の目安について』
…適正な借入額は経営手腕によって変わります。
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クライアント様から「当社の適正な借入額はどれくらいでしょうか?」 とのご質問を度々いただきます。ご質問の背景には、借入には危険なイメージがあるため、 借り過ぎてはいけないという思いがあるようです。
まずは、運転資金借入の適正な金額について考えます。運転資金には、経常運転資金と増加運転資金があります。緩やかに売上を伸ばそうと考えておられる企業様は、経常運転資金の範囲内が 適正な借入額となります。経常運転資金は以下の計算式で求めることができます。
経常運転資金=平均月商×(売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-買入債務回転期間)
期日一括型の借入であれば経常運転資金と同額、約定返済付きの長期借入であれば、 約定返済を考慮して、経常運転資金の2倍程度が適正な借入額と考えます。 但し、適正な借入額を超える借入があっても、超えた分が現預金として滞留しているので
あれば、全く問題ありません。
売上の急拡大を狙う企業様は、現状の売上高を維持するための経常運転資金に加えて、 成長を促進するための増加運転資金を調達しなくてはなりません。 増加運転資金は以下の計算式で求めます。
増加運転資金=月商増加見込み分×(売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-買入債務回転期間)
増加運転資金の調達は、売上の増加を見込んだ借入ですので、計画通りに売上が増加すれば、 借入額は結果として適正になりますが、計画通りに売上が増加しなければ、増加運転資金部分
が借入過多として残ってしまいます。
次に設備資金の借入ですが、設備資金の借入は、その設備の導入で見込まれるキャッシュフローの 増加額(減価償却費+純利益)の7~10倍以内を目安にすると健全です。 但し、増加運転資金と同じく、見込みの売上やキャッシュフローを前提にした借入ですので、 計画通りに利益をあげられなければ、たちまち借入過多となります。
借入に危険なイメージを持っている経営者様も多いと思いますが、経常運転資金の範囲内の借入、 いざという時のために現預金に置いている借入は適正で安全です。一方、先行投資のために 借り入れる増加運転資金や設備資金の借入は、経営者様の手腕によって、 危険な借入にも適正な借入にもなり得ます。
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「キャリアアップ助成金(諸手当制度共通化コース)」は、有期契約労働者等に関して、 正規雇用労働者と共通の諸手当に関する制度を新たに設け、適用した場合に支給されるものです。
平成29年度に新設された助成金ですが、平成30年4月からは更に加算措置が追加される 予定です。有期契約者等の処遇改善をお考えの方はご検討ください。
概要をみておきましょう。
■支給額
次の額が支給されます。
※( )内は生産性要件を満たす場合の金額です。
○中小企業:380,000円(480,000円)
○中小企業以外:285,000円(360,000円)
◆加算措置(平成30年4月以降の予定)
1.対象者(2人目以降)の人数に応じて1人あたりに加算
○中小企業:15,000円(18,000円)
○中小企業以外:12,000円(14,000円)
2.諸手当(2つ目以降)の数に応じて1つあたりに加算
○中小企業:160,000円(192,000円)
○中小企業以外:120,000円(144,000円)
■対象となる手当
有期契約労働者等に、正規雇用労働者と共通の次の(1)から(11)のいずれかの諸手当制度を 新設することが要件です。
※諸手当の名称が一致していない場合でも、その趣旨等から該当すると判断されれば要件を 満たします。
(1)賞与
勤務成績に応じて定期又は臨時に支給される50,000円以上の手当(いわゆるボーナス)
(2)役職手当
管理職、管理・監督者等、職制上の責任のある労働者に対し、責任の重さ等に応じて支給される 3,000円以上の手当
(3)特殊作業手当・特殊勤務手当
著しく危険な勤務等、特殊勤務に従事する労働者に対し、その勤務の特殊性に応じて支給される 3,000円以上の手当
(4)精皆勤手当
労働者の出勤奨励を目的として、事業主が決めた出勤成績を満たしている場合に支給される 3,000円以上の手当
(5)食事手当
勤務時間内における食費支出を補助することを目的として支給される3,000円以上の手当
(6)単身赴任手当
勤務する事業所の異動等により、同居していた扶養親族と別居することとなった労働者に対し、 異動前後の住居間の距離等に応じて支給される3,000円以上の手当
(7)地域手当
特定地域に所在する事業所に勤務する労働者に対し、勤務地の物価の地域差等に応じて支給される3,000円以上の手当
(8)家族手当
扶養親族のある労働者に対して、扶養親族の続柄や人数等に応じて支給される 3,000円以上の手当(子女教育手当を含む)
(9)住宅手当
自ら居住するための住宅や、単身赴任する者で扶養親族が居住するための住宅を借り受けまたは 所有している労働者に対し、家賃等に応じて支給される3,000円以上の手当
(10)時間外労働手当
法定労働時間を超えた労働時間に対する割増賃金として、割増率を法定割合の下限に 5%以上加算して支給される手当
(11)深夜・休日労働手当
深夜・休日の労働に対する割増賃金として、割増率を法定割合の下限に5%以上加算して支給される手当
詳しくは厚生労働省のホームページからご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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